高校英語のおすすめ教材・勉強法

大学受験

英語は、文系・理系を問わず、全ての高校生が勉強しなければならない科目です。そして、間違いなく高校卒業後も役立つ、極めて「実用的」な科目でもあります。高校生のうちに英語を得意になっておくことは、その後の人生において圧倒的なメリットを持つのです。

私は、東大の大学院にいるとき、海外の企業と共同で研究を行っていたのですが、当然やりとりは全て英語でした。このときの私の英語力は、高校生のうちに築いていたものが非常に大きかったことを記憶しています。本記事では、高校英語のおすすめ勉強法・教材をご紹介します。

なお、全ての教科に共通の「教材の選び方」については、以下の記事で詳しく解説しています!

高校英語のおすすめ勉強法

英語の4技能…の前に

突然ですが、英語力とは何でしょう。。英語(に限らずあらゆる言語)には、

  • 読む(リーディング)
  • 書く(ライティング)
  • 聞く(リスニング)
  • 話す(スピーキング)

という4つの技能があります。これまでの大学受験では、特に読む(リーディング)の能力が問われてきました。しかし、昨今は書く(ライティング)、聞く(リスニング)、話す(スピーキング)の能力も大事だ!ということで、これからどんどんライティングとリスニングとスピーキングの能力も問われるようになります。

赤ちゃんは、「まず周りの会話を聞いて、次に話して、次に文字を読めるようになって、最後に自分で文字を書く」という順序で母国語を覚えていくわけで、いきなり読み書きから入る日本の英語教育は、まあちょっと歪んでいると言えば歪んでいます。Youtubeで、「英語 できるようになるには」などで検索してみると、「まずは英語を話すことが大事だ!」みたいな動画が山ほどヒットします。

ということで、「この4技能を伸ばしていきましょうね~」という話なのですが…実は、この4技能を伸ばす以前に、まず絶対習得すべきことがあります。

それは、

英単語と英文法の知識

です。

「なんだ、そんなことかよ」と思われるかもしれませんが、英単語と英文法の知識は本当にめちゃくちゃ大事、です。実際のところ、ほとんどの高校生が英単語も英文法も中途半端な状態で、精読だの多読だの過去問演習だのを行ってバタバタ倒れています。逆に、この2つをしっかりマスターできれば、入試直前で一気に点数を伸ばせるのです。

高校2年生までは、英単語と英文法をめちゃくちゃやれ!

英単語と英文法に対するアプローチ

というわけで、まずは英単語と英文法です。この2つに、圧倒的に集中してください。中途半端ではいけません。「圧倒的」に集中してください。高校2年生くらいまで、この2つしかやらないくらいでもいいと思います。

もちろん、英単語と英文法を、本当に完璧にすることは不可能です。特に、単語学習に終わりはありません。ですが、受験勉強を本格的に開始した時点で、この2つがどれだけできているかが、その後の伸びに大きくつながります。早いうちから、できることまで全力を出してください。

中学の内容に戻ろう!

ここで、あせって難しい単語を覚えようとしたり、難しい文法書を開いたりしてはいけません。単語と文法のスキルは、これからの皆さんの英語を支える、本当に大切な土台です。基礎の基礎、一番簡単なものから、焦らず積み上げていきましょう。

特に高校生は、焦って難しい英文法を覚えようとしがちです。確かに、高校ではたくさんの英文法を習いますので、気持ちはとてもわかります。ですが、焦りは禁物です。まずは、中学生の英文法からやり直してください。現在形とか、単数形・複数形、とか、疑問文とか、そういった基礎事項をしっかり覚えることが、本当に大切です(そして、こういった基礎事項ほど、実は奥が深かったりします)。

中学英語をやりなおすには、「中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく。」という本がとてもおすすめです。

英語がとにかく苦手…

という人は、この本にしっかり取り組むだけで、かなり基礎が出来上がりますよ!

英単語の覚え方

英単語は、やはり英単語帳で覚えるのが手っ取り早いです。英単語帳は個人によって合う合わないが大きいので、1冊にこだわず、いくつか使ってみると良いです(ただし、いつまでも単語帳を乗り換え続けていてはだめです)。

最近は「英文で覚える」というスタイルが流行りですが、個人的には1単語ずつ覚えるほうが良いと思っています。覚えるときは徹底的に、その単語を見た0.1秒後に意味が浮かぶレベルで覚えましょう。

英文法の覚え方

英文法は、「総合英語 Evergreen」「アトラス総合英語」「総合英語One」「ジーニアス総合英語」などの大学受験用に作られた基本的な文法書(多くの場合、タイトルに「総合英語」という文字が入っている)を1冊繰り返しましょう。その1冊で、基礎的な文法を一通り覚えれば、まずはOKですので、次のステップ(多くの人は精読であることが多い)に移ってください。

ただし、文法の抜け漏れはあるはずなので、定期的に読み返したり、問題演習を行う時間を取りましょう。また、入試直前は「大学入試 世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座(関正生 著、KADOKAWA/中経出版)」などの対策書で総復習することをおすすめします。

英単語の学習では発音も意識せよ

英語学習でまず始めるべきは、英単語の習得です。ここで1つ、是非やっていただきたいのは、その英単語の「音」も一緒に覚えることです。tunnel(トンネル)を「とんねる」と覚えてはだめです(タノウ、に近いです)。ここでしっかりと音を覚えているかどうかは、後々のリスニングやスピーキングでものすごく効いてきます。

ですから、単語帳を使う場合は是非、音源がついているものを選びましょう。そして、覚え始める前に、まず一度は音を聞いてください。音源がなければ、インターネットで発音を調べるのでも良いです。「—– pronunciation」でググれば、—–の発音を聞けます。(tunnelの発音を聞きたければ、「tunnel pronunciation」でググってみてください!)

そして、できれば英単語は発音しながら覚えてください。ここについて、「百式英単語」という英単語帳で提唱されている英単語の覚え方が、とてもおすすめです。ある英単語を覚えるとき、「英単語の発音+意味」をつなげて高速で2回繰り返して発音する、というものです。例えば先ほどのtunnelであれば、「タノウトンネルタノウトンネル」と発音するイメージです。詳しくは、ぜひこの百式英単語を購入して読んでみてください(高校生向けです)。

さらに、欲を言えば、早い段階で「発音記号」を覚えるととても良いです。英語には日本語にはない音が山ほどあるので、カタカナでは限界があります。発音記号も完ぺきではありませんが、カタカナより2億倍マシです。発音記号は1日あればほとんど覚えられますので、ぜひ早い段階で覚えてみましょう。中学英単語をある程度覚えたみなさんなら、今すぐ始めても決して早すぎるということはありません。

リーディングのおすすめ勉強法

英単語と英文法をある程度覚えてきたら、多くの人が英語の文章の読解を始めると思います。これからライティング、リスニング、スピーキングの能力も重視されるようになるとは言え、やはり入試で圧倒的に重要度が高いのはリーディングです。

英語の読解は大きく、精読と多読に分けられることがあります。

  • 精読・・・文法を意識しながら、じっくり、しっかり意味をとって読むこと
  • 多読・・・スピードを重視し、短時間にたくさんの量を読むこと

ここで、まず意識してやるべきは精読です。私自身、精読をしっかりやって圧倒的に英語の成績が伸びました。そして精読も、とにかく基礎の基礎、かんたんな文章から始めましょう。いきなり関係代名詞とかが入っている文章をやってはいけません。それこそ、「This is a pen. 」レベルからやるのです。ここで、英文の原則、一番基本的なルールを覚えてください。

入試問題は長文がでますから、当然ながら多読が得意でなければいけません。しかし、がむしゃらに量を読んでいても、成績はあがりません。むしろ、英単語と英文法をしっかりと覚え、精読ができていれば、入試レベルの英文は素早く読めるようになります。

いま、「長文を読むのが遅いんだよな…多読しないとだめだなあ」と思っている高校生。もし、その英文中の英単語を全て知っていたらどうですか?難しい英文法が使われている文は読み飛ばして良いとしたら?たぶん、めちゃくちゃ速く読めます。英文を読むのが遅い原因のほとんどは、英単語と英文法の知識不足です(特に英単語)。

リスニングのおすすめ勉強法

リスニングの勉強ですが、これも基本的には英単語と英文法の知識がベースになります。特に、英単語を音とセットで覚えられているかどうかを問われます。「英語のリスニングが苦手です」という場合、その原因の多くは、英単語力不足(+英単語を音で覚えていないこと)です。

ただ、英単語とは違って、リスニングでは「単語のつながりによる音の脱落・変化」も問われます。例えば、I got it.(わかりました)は、「アイガーレッ」みたいな感じです。これを、「アイ ゴット イット」と覚えていては、いつまで経っても聞き取れるようにはなりません。

単語のつながりによる音の脱落・変化を覚えるには、2つのアプローチがあります。

  • 音の脱落、変化、のルールを覚える
  • 英文をめちゃくちゃ聞いて、雰囲気を覚える

これは両方できると良いです。ルールを覚えられる書籍としては、「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」「英語耳」の2冊を推薦します。

英文を聞いて雰囲気を覚えるときは、そこそこ速めの英文(ただし単語はなるべく簡単なもの)を聞くと良いです。Youtubeで簡単な英語の動画などを聞いたりすると良いでしょう(例えば、「easy englisu conversation」などで検索すれば、簡単な英会話がたくさんヒットします)。

短めの英文に慣れてきたら、Youtubeでお気に入りの英語の動画を見つけて、何度も聞いてみると、楽しくリスニング力をあげることができます!

ライティングとスピーキングは…

ライティングとスピーキングの勉強法ですが…すみません、こちらは私もまだ最適な答えが見つかっていません。もちろん、英語のネイティブにチェックしてもらうのが良かったりはするのでしょうが、現実的ではありません。

  • ライティング、スピーキングに関する書籍を買ってやってみる
  • 塾や予備校の対策授業をつかってみる

など、いくつか王道の手段はありますが、如何せん私自身のライティング、スピーキングがお粗末なので、これといったおすすめができません。申し訳ございません…

いずれ、これらの技能を習得出来たらこちらで紹介したいと思います。

高校英語のおすすめ教材

英単語

使っていた中学校の教科書

まずは、中学の単語の復習からです。新しく購入する必要はありません。使っていた中学校の教科書に出てくる単語を覚えればOKです。できれば、全て覚えきってください。(とはいえ、やはり100%は難しいので、9割以上覚えられたら、百式英単語などに移って良いでしょう)

中学英単語をひとつひとつわかりやすく。
(山田暢彦、学研)

中学校の教科書を無くしてしまって人は、こちらをどうぞ!高校入試までに必要な1200語を収録しています。さほど量はないので、無理なくできるのではないでしょうか。

新版 百式英単語
(太田義洋、西東社)

ものすごくおすすめです。これ一冊で、高校基礎から東大や早稲田・慶応まで対応できます。そしてなんといっても、こちらで紹介されている単語の覚え方が、本当に素晴らしいです。私自身、この英単語帳にものすごく救われています(現在進行形)。とにかく、本屋さんで立ち読みするのでも良いので、一度読んでみてください。

英単語Stock3000
(関正生、文英堂)

英語の超人気講師、関正生先生が出した、比較的新しい英単語帳です。関正生先生の書籍はどれもおすすめで、やっぱりこの英単語帳も素晴らしいです。こちらは基礎~中堅レベルの英単語を収録しているのですが、難関大志望者向けにStock4500というものもあるので、是非チェックしてみてください。

改訂版 鉄緑会東大英単語熟語

東大を受験するあなたに!実のところ、私は使ったことがないのですが、東大生からの評判は良いです。(本当に、東大生に聞くとびっくりするくらいみんなこれを使っています)

発音

英語耳

発音記号や、単語のつながりによる音の脱落・変化について、詳しく解説されています。後半には、英語の発音を圧倒的に改善する手法も紹介されていますので、是非読んでみてください。

怖いくらい通じるカタカナ英語の法則

とっても気軽に読めます。発音記号は出てきませんが、これを読むだけでも発音に対する意識はガラっと変わるはずです。忙しくて時間がない人にもおすすめ。

英文法

くもんの中学英文法 ― 中学1~3年 基礎から受験まで

中学英文法を復習するのにちょうどいい書籍です。英語が苦手な人の多くは中学英文法に抜け漏れがあることがほとんどです。まずは一度、この本で中学英文法を完璧にしてしまいましょう!

中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。
(山田暢彦、学研)

総合英語 Evergreen

高校英文法を網羅的に学べる書籍です。似たような本は他にもいくつかありますので、是非書店で手に取って見比べてみてください。問題集というよりは、教科書として使うイメージです。

大学入試 世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座

またまた関先生の本。私自身、入試直前(たぶん高3の12月くらい)にこの本と出合って、一気に英語の成績が伸び始めました。「あと1年早く出会っていれば、現役で合格してたのに~!」と思います笑。もちろん、その後の浪人生活でも大活躍しました。

リーディング(精読)

大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座

はい、関先生です。「大学入試 世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」が気に入った人は、こちらも是非買ってみてください。

大学入試問題集 関正生の英語長文ポラリス(1 標準レベル)

「何回、関先生の本を紹介するんだ!」という声が聞こえてきそうですが、大学入試英語については、関先生の教材は本当にわかりやすいですよ(特に、英語が苦手な人向け)。Amazonのレビューを見てください。絶賛されているでしょう?

ポレポレ英文読解プロセス50

昔からある、超有名な精読教材です。王道で攻めたい人はどうぞ!比較的薄く、問題数も50問と少ないので、手を出しやすいかと思います。

リーディング(多読)

ラダーシリーズ

いわゆる、ペーパーバックと呼ばれているものです。「Penguin Readers」や「Oxford Bookworms」が有名ですが、個人的にはこのラダーシリーズがおすすめ。レベルも平易ですし、何と言っても、登場する単語集が本の後ろにガッツリとついているので、辞書を引く手間が省けます。

Wikipedia(英語版)

Wikipediaって、面白いですよね。1日中検索してしまう人も多いのではないでしょうか?実は、Wikipediaは英語版もあります、というかそちらが本家です。自分の好きな記事をみつけたら、頑張って読んでみましょう!

リスニング

Youtube

大前提として、リスニング力を上げるもっとも基本的な方法は、「たくさんの英単語を、音とセットで覚えること」と、「英単語を綺麗に発音できるようになること」です。したがって、「英単語もあんまり覚えてないし、発音もめちゃくちゃ」というのであれば、まずは単語帳と発音の練習をやりましょう!

ある程度単語を覚えて、発音にも慣れてきたら、英語をガンガン聞いてください。リスニングの教材を使っても良いですが…正直、あまり面白くないですよね。それより、Youtubeでお気に入りの英語の動画を見る方が、よっぽど楽しくリスニング力を鍛えられますよ!

洋楽を聞くのも良いですが、それよりは一般的なスピーチだったり会話だったりの方が良いでしょう。できれば、英語の字幕がついている動画だと、セリフが文章で確認できるのでおすすめです。

例えば、料理が好きな方なら以下のチャンネルはどうでしょうか?

また、英語で英文法を解説してくれるチャンネルもたくさんあります。

英語で歴史を学ぶ、なんてのも面白いかもしれません。

私はF1が好きなので、F1の公式チャンネルの動画を良く見ています。スポーツ観戦が好きな人は、英語実況の試合の映像を見てみるのがおすすめです!F1公式チャンネルの動画は権利の問題でこのブログに埋め込めないのですが、例えば、

Top 20 F1 Radio Clips of 2019

などは、リアルな英語が聞けて面白いですね。ほかにも、メルセデスAMGのチャンネルも面白いコンテンツがたくさんあります。