院試対策でおすすめの数学の参考書(東大・東工大)

院試・大学院生活

今回は、大学院入試(院試)を受験するにあたり、おすすめの数学の参考書をご紹介します。私が受験したのは東大の工学系研究科と東工大の電気電子系ですので、これらを受験する人には特に参考になるかと思います(工学系ならほかもそれほど変わらないと思います)。

東大工学系と東工大電気電子系の出題難易度

参考書の紹介に入る前に、簡単に東大工学系(共通問題)と東工大電気電子系の出題難易度をご紹介します。あくまで、私の感想です。

結論、東大の方がかなり難しいです。というか、東工大がかなり簡単です。

例えば、線形代数であれば、東大では出題されるジョルダン標準形やエルミート行列は東工大で出題されません(私の記憶が正しければ。出題されたらゴメンナサイ)。

また、演算子法で解くような微分方程式では、東工大はせいぜい2階までしか出ませんが東大は3階以上が出ますし、ルジャンドルの微分方程式なども東大では出ますが東工大では出ません(記憶が正しければ。)

このあたりは東工大の電気電子系で使っている数学の教科書が簡単なことが理由です。東工大は本当に基礎的な問題しか出ないので、落とさないことが重要になります。東大工と東工大電電を両方受験する人は、東大対策をやっておけば東工大は余裕です。

ちなみに、電磁気学は逆に東工大電電の方が東大より難しく、東工大対策をやっておけば東大は余裕です。東工大の電気電子系を受験する人は、数学はささっと終わらせて電磁気学の勉強に移った方が良いでしょう。電磁気学のおすすめ参考書は以下の記事でご紹介しています。

実際に使ったオススメできる院試の数学参考書

ここでは、私が実際に東大・東工大の院試対策で使っていて、「良かったな~分かりやすいな~おすすめできるな~」と思ったものをご紹介します。

線形代数

スバラシク実力がつくと評判の線形代数キャンパス・ゼミ
(馬場敬之ほか、マセマ)

マセマの通称でしられるこちらのシリーズ。有名です。賛否両論ありますが、私はわかりやすいと感じたので、2~3周しました。比較的発展的な内容にも踏み込んでいるので、完璧にすれば東大も合格ラインに乗るでしょう。

教養の線形代数
(村上正康ほか、培風館)

こちらは東工大の1年生だったときに使っていた教科書です。基礎的な事項がコンパクトにまとまっていますし、例題の解説は丁寧です。欠点としては、演習問題の解説がやや不親切なことでしょうか。マセマよりレベルは低く、東大の工学系はこれ1冊だと厳しいでしょう。

微分積分

弱点克服 大学生の微積分
(江川博康、東京図書)

非常にわかりやすい参考書です。見た目に反してかなりボリュームがあり、これ1冊をしっかりやりきれば東工大は余裕。東大にも対応できます。後半は難しいですが、前半は本当の基礎問題から始まるので、微分積分が苦手な人にもおすすめです。

確率・統計学

スバラシク実力がつくと評判の統計学キャンパス・ゼミ
(馬場敬之ほか、マセマ)

確率統計に関して、私はマセマを使っていました。大学で配られた教科書は、「確率と統計―情報学への架橋(渡辺澄夫ほか、コロナ社)」だったのですが、絶望的に理解できなかった記憶があります…。もしいまお使いの教科書が合わないと感じたら、一度マセマを見てみてください。

徹底攻略 確率統計
(真貝寿明、共立出版)

やり切ることはできませんでしたが、非常に丁寧でわかりやすい参考書です。これ1冊やれば院試の確率統計対策は完璧でしょう。もし院試まで時間があるのであれば、ぜひ取り組んでみてください。本当に内容がしっかりしているので、院試が終わっても長く使える本です。

フーリエ・ラプラス

フーリエ級数・変換/ラプラス変換
(水本哲弥、オーム社)

フーリエ変換やラプラス変換の基礎が分かりやすく解説されています。大学の教科書としてはめずらしく、ページ内の文字数が少なめで読みやすいのが特徴です。一見、問題量が少なく見えるのですが、院試で出題されるレベルのフーリエ・ラプラス分野は十分に網羅できています。ただ、こちらの教科書は中古品しか残っていないようです…残念…

微分方程式

スタンダード 工学系の微分方程式
(広川二郎ほか、講談社)

東工大電気電子系の先生がご執筆された教科書で、私のときはこれが指定教科書でした。実は、私がこの教科書を買ったのは高校3年生のときです。ものすごく簡単な変数分離の微分方程式を高校で習ったので、「もうちょっとしっかり勉強したいなー」と思ってこれを買いました。高校生の私が買うくらい、かなりわかりやすく書かれています。東工大電気電子系の院試であれば、こちらで十分です。ただし、東大レベルには対応できません。

スバラシク実力がつくと評判の常微分方程式キャンパス・ゼミ
(馬場敬之、マセマ)

「スタンダード 工学系の微分方程式」でカバーできない東大レベルの問題に対応するために購入しました。こちらを買えば、東大の問題も解けるようになります。ただし、偏微分方程式は載っていません。私は「スタンダード 工学系の微分方程式」とこの2冊で対応しましたが、偏微分方程式のマセマを買っても良かったかもしれません。

複素解析

スタンダード 工学系の複素解析
(安岡康一ほか、講談社)

微分方程式と同様、東工大電気電子系の先生がご執筆された本で、基礎的な内容がコンパクトにまとまっています。微分方程式とは違い、東大の問題もこちらの本だけで対応できた…気がします。少なくとも、私はこの本しかやっていないです。

追加でオススメしたい院試数学の参考書

私が受験当時知らなかったり、時間がなかったり、院試後に発売されたなどで「使ってなかったけど、いまだったらこれ使って院試対策するわ!!」というイチオシの院試数学参考書をご紹介します。

弱点克服シリーズ

「弱点克服シリーズ」は微積分しか使わなかったのですが、院試後に見てみたところ、他の科目もとても分かりやすかったです。マセマが合わない人にぜひおすすめです。

弱点克服 大学生の線形代数
(江川博康、東京図書)

弱点克服 大学生の確率・統計
(藤田岳彦、東京図書)

弱点克服 大学生の微分方程式
(江川博康、東京図書)

チャート式シリーズ

ついに、あのチャート式の大学数学版がでました!

慣れ親しんだチャート式のデザインで、大変使いやすい参考書になっています。問題が充実していますので、基礎固めの段階から積極的に使うと盤石でしょう。

チャート式シリーズ 大学教養 線形代数(加藤文元、数研出版

チャート式シリーズ 大学教養 微分積分(加藤文元、数研出版)

ャート式シリーズ 大学教養 微分積分の基礎(加藤文元ほか、数研出版)