大学に行く意味は無い?意味あります!(ただし…)

大学受験

最近、「大学に通う意味はない」という意見を頻繁にみるようになりました。確かに、ほとんどの大学生は遊んでばかりのように見えます。また、業界や職種によっては、大学で教える内容が社会でほとんど役立たない、というのも事実でしょう。

今回は、この「大学に行く意味があるか」というテーマについて、私なりの意見を述べます。

3つの「大学の価値」

結論、私は大学に行く意味(=行く価値)はあると思っています。具体的な価値としては、大きく以下の3点なります。

その1:学問を修めるという活動ができる

まず、学問を修めることそれ自体に価値がある場合があります。

例えば、大学で研究を行うことによって世の中に新しい知見を提供したり、大学で学んだことを活かして社会で活躍する、といったことが行われるのであれば、文句なしに「大学に行く価値がある」と言えるでしょう。

一方で、近年は「大学で習うことは社会で全く役に立たない」と言われることがあり、この1つめの価値が揺らいでいるようにも思います。

その2:(勉強以外で)かけがえのない出会いや経験を得られる

大学で得られるのは知識や研究成果だけではありません。勉強とは関係のない、多様な人々との出会いや経験の存在を忘れてはいけません。

例えば、部活やサークル活動、アルバイト、合コン、によって得られる出会いや経験によってその人の人生が豊かになるのであれば、やはり「大学に行く価値がある」と言えるでしょう。

その3:学歴を得られる

幸か不幸か、学歴が人生に与える影響は非常に大きいのが現状です。

例えば、東大卒という肩書きを持っているだけで就職が非常に有利になったり、なんかすごそうに見えたりする、といったことが良く起こります。

学歴のためだけに大学に進学することには批判的な意見が多いのですが、こういった現実がある以上、学歴それ自体にも大きな価値があると言わざるを得ません。

学問を修めることの価値について

学問で世の中に貢献している学生はたくさんいる

まず初めに、就職後に役立つかどうかはさておき、大学の研究を通じて世の中に貢献している学生はたくさんいる、ということを述べたいと思います。

私は東京工業大学と東京大学大学院に通ったのですが、周りには真面目に勉強している学生がたくさんいました。めちゃくちゃ遊びつつめちゃくちゃ勉強している人もいました。こういった学生さんは研究活動等でさまざまな成果を出し、人類の発展に貢献しています。

私も微量ながら、学士・修士で新しい知見をこの世の中に提供できたと自負しています。これだけでも、私が大学に行く価値は十分にあったと考えています。

とはいえ、こういった、「大学が本来あるべき機能」を果たしている大学は、一部なのかもしれません。高いレベルで学問を修めたいのであれば、それに見合った研究を行っている大学に進学したほうが良いのは間違いありません。ぜひ、大学を選ぶ際は研究成果等をチェックしてみてください。

大学での学びが役立つ仕事はたくさんある

大学で学べる知識や経験がダイレクトに役立つお仕事はたくさんあります。

これは特に理系の職種に多く、一部の企業の研究職などは、修士や博士を持っている学生に絞って採用を行っていますし、具体的に大学の研究室を指定して採用するパターンもあります。

東工大では、「あの××研究室は、『××研究室に所属しています』というだけで○○社の内定がもらえる」というウワサを聞いたことがあります(めちゃくちゃ成果を出している研究室だったので、多分本当だと思います)。

一方で、大学での学びがほとんど役立たないお仕事がたくさんあることも事実です。いままさに私が携わっているお仕事も、自分の研究成果は一切役立っていません。

大学を就職予備校だと考えるからおかしなことが起こる

そもそも、大学で学ぶことと就職後に必要な知識にズレがあるのは当然です。大学は高度な研究機関であり、学問の発展に必要な知識を教えてくれるものです。

大学は就職予備校ではありません。就職後に役立つ内容だけを教えてくれると期待するほうがおかしな話です。まあ、中には就職に有利になることを謳い文句にしている大学もありますが…

なお大学側に、就職後に役立ちやすい知識を学べる学部・学科と、そうでない学部・学科があることも事実です。このあたりについては、以下の記事を参考にしていただくとよいかもしれません。

勉強以外の出会いや経験の価値について

遊びは人生において非常に重要

部活やサークル活動、アルバイト、合コン、といった「ザ・大学生の活動」にも、とても大きな価値があります。

私自身、大学のサークルを通じて一生の友人たちと出会えましたし、アルバイトや合コンを含め、様々なことにチャレンジできた6年間(大学院含む)でした。この経験は、間違いなく私の人生を豊かにしてくれています。

「大学に通わなくても交流はできる」という意見も聞かれますが、そんなことないと考えます。大学ほどたくさんの人々に巡り合えてまとまった時間がとれる環境は無いと断言しても良いと思います。

大学は多様な生き方に触れられるすばらしい環境

サークルや合コンといったプライベートの出会いに加えて、講演会や研究発表会、就活イベントなどを通じた、真面目な(?)出会いもたくさんあります。先輩に話を聞いて、自分の進路を考えることもできます。大学で出会った友人と起業する人もたくさんいます。

大学が作り出す人と人との交流には、ものすごい価値があるのです。

学歴の価値について

最後になりましたが、学歴について。学歴、大事!!!

学歴が人生に与える影響は非常に大きい

「学歴なんて意味ないよ」という人はたくさんいますが、個人的には「めちゃくちゃ意味がある」と思っています。そもそも、学歴というのは大学に入るために努力した証であり、大学で学問を修めた証であるわけです。意味がないはずがありません。

もちろん、「すべてが学歴で評価されるわけではない」というのは、その通りだと思います。仕事ができない東大生はたくさんいます。しかし、「学歴なんて関係ないし、適当に合格した大学に進学すればいいや~」などと考えていると痛い目を見ますよ!

就職・転職と学歴の関係

有名な話ですが、就職・転職時は学歴がかなり重要になることがあります。特定の企業は特定の大学の卒業生しか採用しません。私は転職エージェントのお仕事をしたことがありますが、転職のオファーを出すときはかならず出身大学を見ていました。

なお、学歴で就職に苦労したくない場合は、以下の6つの大学のどこかに入学することをおすすめします。

  • 東京大学
  • 京都大学
  • 東京工業大学
  • 一橋大学
  • 早稲田大学
  • 慶應義塾大学

大学に行く目的を明確にしておこう

遊びや就活のために行くのもあり

以上の通り、私は大学に行く価値はあると考えています。勉強だけが大学の価値ではないので、「とりあえず大学に行って遊ぶ」という選択も大いにありだと思います。また、就活のために進学するのも、まったく否定しません(事実、有名大学を卒業しないと入れない企業が山ほどあるわけですから)。

とはいえ、個人的には、せっかく大学に行くのであれば「学問を修める楽しさ、ツラさ」を知っていただきたいと感じます。そのためには、それなりに研究に力を入れている大学に進学し、在学中も勉学に励む必要があります。

いずれにしても、目的があいまいなまま大学に進学すると、不本意な大学生活になります。「自分は何のために大学に行くか」という進学の目的をしっかりと考えておきましょう。

とりあえず行くのもあり

なかには、「将来のことはわからないから、いったん大学に行く」という人もいるでしょう。それでも良いと思います。大学在学中にいろいろな経験を通じて、自分のやりたいこと、目指したい姿が見えてくるかもしれませんし、適当に就職したりするくらいならいったん大学に進んでおくのがベターです。

ただし、ぜひ大学進学後も「何のために大学に通っているか」ということをしっかりと自問自答してください。その結果、「あれ?大学に通っている意味なくね??」となれば、その時点で別の道(休学、中退、再受験など)を検討しましょう。

もちろん、大学に行かないのもあり

もちろんですが、大学に行かないという選択も大いにありです。大学に行く意味はあると申し上げているだけで、「大学に行くべき」と言っているわけではありません。自分が目指したい姿が固まっており、その実現にとって大学が不要なのであれば、行くべきではありません。

いずれにしても、大学に行く前に、自分の将来についてしっかりと考えることが大切です。